ブログの記事を書くときの注意点の1つとして「誹謗中傷」があります。

グーグルアドセンスのポリシーでも「それはダメだよ」と言われている1つになりますが、気を付けているつもりでもいつの間にか「誹謗中傷」に相当する内容を書いていた!なんてこともありますね。(とコンサル生の記事の添削をしていて思うことがある。記事に書き慣れてきたな、という時には注意しましょう)

この誹謗中傷とはどういったことを指すか、また誹謗中傷に似ている「批判」との違いはどこにあるのか。ここを押さえておけば記事を書く上で迷う部分もかなり少なくなるし安心して記事作成もできますね。

ここではブログの記事を書く上で押さえておくべき「誹謗中傷」と「批判」の違いや記事を書く上でのポイントから、誹謗中傷におけるリスクとその対応についての解説です。

【おさらい】アドセンスのポリシー

まずグーグルアドセンスのポリシーで誹謗中傷に関連するところのおさらいです。
(アドセンス以外の広告でもそのサービスのポリシーを確認してみてくださいね)

Google パブリッシャー向けポリシーで誹謗中傷に関する内容を見ると、以下のようなコンテンツは許可されない、とされてます。

※)以下簡略化してます。詳しくはアドセンスのポリシーで実際に確認してみてください。

  • 人種、宗教、障害、年齢、国籍、性別などに対して、排斥扇動、差別、誹謗中傷を助長するコンテンツ
  • 嫌がらせや威嚇、攻撃しているコンテンツ
  • 脅迫、危害を加えることを奨励したりしているコンテンツ
  • 強要による他者の搾取を目的とするコンテンツ

一言で言えば、いかなる対象に対しても、差別的な内容、誹謗中傷、威嚇や攻撃的な内容はNG、ということになりますね。(ちなみにアドセンスのポリシーでは対象は人だけでなく動物(の虐待)とかも対象として含まれます)

このポリシーに記載されている表現を文字通り解釈すれば、書きっぷりによって読み手に対し「助長する」ような(ある傾向をより著しくさせる、つまり誹謗中傷や差別などを促すような)内容になっていると明らかなポリシー違反になる、ということです。

差別的な内容、威嚇や攻撃的な内容は割と分かりやすいと思いますが、
ここではうっかりすると書いてしまいそうな「誹謗中傷」に絞り、そもそも「誹謗中傷とは何か」、関連して「批判とは」という点をより詳しく見てみましょう。

誹謗中傷とは

「誹謗中傷」「批判」について説明しているサイトはたくさんありますが、その中でも信頼性が高い「弁護士など法律の専門家が説明している内容」を参照して、まず誹謗中傷とは何かから見てみます。

誹謗中傷だけに限らず、この記事で参考にしたソースは以下:
誹謗中傷とは?5つの具体例や批判との違い・どんな罪に問われるか
(ベリーベスト法律事務所)
名誉毀損と侮辱罪の要件の違いと慰謝料の相場
(弁護士費用保険の教科書)
名誉棄損や侮辱などについて
(刑事告訴・告発支援センター)
ネット上の誹謗中傷と批判・非難の違いは?法的な線引き
(弁護士法人あまた法律事務所)

まず「誹謗中傷」については、ポイントをまとめると以下のようになりそうです。

  • 誹謗中傷は法律用語ではない
  • 誹謗中傷した場合には、法律的には「名誉毀損罪」や「侮辱罪」などにつながる可能性がある

誹謗中傷は法律用語ではない(法律上の定義はない)ということから、
そもそも誹謗中傷とは何かは、日本語の意味としてとらえることになります。

辞書で見れば誹謗中傷とは、
「他人の悪口や陰口を言ったり根拠なく他人の名誉を傷つけること」

誹謗中傷は法律用語ではない、ということは、法律の中で「誹謗中傷」という表現における罰則規定はない、ということになるわけですが、(日本では)「名誉棄損」や「侮辱罪」、他にも「信用毀損罪」「業務妨害罪」「脅迫罪」などが誹謗中傷に関する罰則規定として存在する、ということになるでしょう。

つまりブログの記事を書く上では以下がポイントになりますね。

  • 誹謗中傷は書かない
    「他人の悪口や陰口など」の表現、「根拠なく他人の名誉を傷つけること」などは書かない
  • アドセンスのポリシーから
    「誹謗中傷にならないよう、誹謗中傷を助長するような内容にならないよう」気を付ける
    (読む人の気分を害しないとか記事内容に関連する人や物などに迷惑をかけない)
  • 日本の法律としても
    「すると罰せられる」規定(社会的に守るべきルール)として「名誉棄損」や「侮辱罪」などがあり、それらに該当する内容にならないよう注意する

ブログの記事ではこうした点を念頭に書く、
こうしたものと受け取られない書き方が必要、
ということになります。

名誉棄損や侮辱とは

誹謗中傷は名誉棄損や侮辱罪などにあたる可能性がある。
逆に言えば、名誉棄損や侮辱罪などに相当することが誹謗中傷にあたることにもなる、
とも言えます。

ということは、誹謗中傷を避けるために、名誉棄損や侮辱罪などはどういったものかを具体的に理解しておくこともポイントの1つになり得る、ということになりますね。

ブログの記事を普通に書く時、悪意ある意図をもって書く以外、さすがに人や会社などを貶めて業務や営業の妨害をするような内容(信用毀損罪、業務妨害罪に該当するような内容)や人やその家族を脅迫するような表現(脅迫罪)は書かないと思います。

ということで、ここではうっかりしていると「そうした表現をしていた」ということもあり得る「名誉棄損」「侮辱罪」に絞って、それらはどんなものかを見ておきましょう。

名誉棄損罪、侮辱罪のポイント

まず名誉棄損、侮辱罪は以下のように定められてます。

  • 名誉毀損罪(刑法 第三十四章 第二百三十条(刑法230条))
    • 公然と
    • 事実を示し
    • 人の名誉(社会的評価)を下げること
  • 侮辱罪(刑法 第三十四章 第二百三十一条(刑法231条))
    • 事実を示さなくても
    • 公然と
    • 人を侮辱すること
実際の法律内容はこちら

名誉棄損:刑法 第三十四章 第二百三十条(刑法230条

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

摘示:示すこと。
毀損:壊したりそこなうこと

侮辱:刑法 第三十四章 第二百三十一条(刑法231条

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

摘示:示すこと。

名誉棄損の場合には「事実を示し」とあり、これはたとえば「あの人は実は浮気しているよ(最低だよね)」など「ある事実を示し」複数人に話したりして人の名誉や社会的評価を下げること。

侮辱の場合には「事実を示さなくとも」とあり、これはたとえば人前で「お前は能無しか!」みたいにその根拠となる事実もなく単に罵倒したりすること。

名誉棄損罪、侮辱罪の違いのポイントは「事実を示すか示してないか」にあるようですが、いずれにしても「公然と」人を「侮辱したり名誉を傷つける、社会的評価を下げること」がその対象になる、ということになりますね。

人格攻撃(例:これが分からないのはあなたの頭が悪いから)とか、
単なる悪口(キモイ、ブサイク、低能など)
と言うと捉えやすくなるかもしれません。

「公然と」はズバリあてはまる

ブログやその中で書く記事という視点で1つ1つポイントを見てみれば、名誉棄損でも侮辱でもどちらにもある「公然と」がまずポイント。

ブログやサイトの記事は、不特定多数の人がアクセスできるネット上に情報を公開することになり、つまりこの「公然と」にあたります。

限られた人しかアクセスできない、例えば会員制のサイト、数人の仲間内だけで共有しているブログとかなら問題ないかと言えばそうではなく、その内容が他の人たちに広がる可能性があればこの「公然と」になるようです。

とにかく複数の人に伝わる可能性がある環境で情報を公開するのは「公然と」になるということですね。

「事実」は真実である必要はない

「事実を示す示さない」の「事実」とは、ブログの記事で言えば、ネットで調べた情報、人から聞いた噂話などを含め、たとえば「Aさんには愛人がいるらしい」「Bさんにはxxの犯罪歴がある」などの何か具体的な情報。

この「事実」は「真実であってもなくても(根拠があってもなくても)事実としてとらえられる」のがポイント。

根拠のない事実はデマともなりますが、こうした事実(真実、デマ)を元に他者をおとしめたり社会的評価を下げる(名誉を傷つける)ようなことが書かれていれば、名誉棄損の可能性にもつながり、事実が書かれず、でも他者をおとしめたり傷つけたりする内容であれば「侮辱」というものにつながる可能性がある、ということになります。

真実の事実より、真実でない事実(デマ)を元にして、その上で他者を貶める内容が書かれていれば、よりひどい、ということになりそうですね。

ブログの記事はそもそもネット上に公開され多数の人がアクセスできるもの、ということから「公然と」というものになり、

  • 事実が書かれていようがいまいが(書かれていても真実かどうか関係なく)
  • 他者を侮辱したり、名誉を傷つけたりする内容が書かれている

こうしたことが誹謗中傷にあたる、といことになりそうです。

「公然と」にあたるネット。
そのネット上でブログの記事などで事実が書かれ(それがたとえ真実であったとしても)、それを元にして他者を傷つける内容が書かれていれば名誉棄損につながる可能性がある。

事実が書かれてなくても、他者を傷つけたりするものは侮辱につながる可能性がある。

社会に広く知れ渡った事実については「公然と」にあてはまらないようですが、

  • ネット上で調べたりした「ある事実」(真実であるかどうかは関係なし)を元に「他者の名誉を傷つける内容」、「社会的評価を下げるような内容」
  • 事実が書かれず「単に侮辱しているような内容」

こうしたことは書かないし、単に他者を貶めるような表現は使わない、
こうした視点で記事を書くことが大切になりますね。

批判との違い

誹謗中傷と混同される「批判」とはどいうものかを押さえておくと、より「誹謗中傷」の輪郭がくっきり浮かんでくるかもしれません。

「批判」を「誹謗中傷」ととらえてしまう場合もありますし、「批判」は「悪く言われること」「単なる攻撃」として悪い意味合いで使われる場合が多いと思いますが、「批判は真摯に受け止める」という表現に代表されるように、ざっくり言えば問題点の指摘、改善につながるものが「批判」です。

  • 誹謗中傷:
    事実のあるなしにかかわらず(根拠があろうがなかろうが関係なく)
    対象となる人を侮辱したり、社会的評価を落とすもの。
  • 批判:
    批評して判断したり、物事を判定・評価すること

誹謗中傷はそこから何も生み出さない(悪い感情しか生み出さない)けど、批判は人の言動であったり行動や成果などに対して「良し悪しなどを考え問題点を指摘したり意見を述べること」(何か改善などを生み出す可能性がある)

たとえば、ブログでありがちな有名人や芸能人についての記事で、

  • Aさんが出演しているドラマ観たけど演技下手すぎ。
    顔も悪いけど頭も悪そう

こうした内容を書いたとすると、演技についての話が、単に容姿や人格を否定したり攻撃をしているだけとなり、これは誹謗中傷にあたりそう。
(事実を元に人格攻撃しているので名誉棄損につながりそう)

でもたとえば、

  • Aさんが出ているドラマ見たけど演技下手すぎ。
    というのもxxxがxxxだし、xxxという時のxxxが不自然に見える。
    普通はxxxというようにすると思うけど...

このように、物事の良しあしを判断したりして、悪いと思われるところの指摘や改善案など自分の意見を述べる場合には「批判」になりそうです。

でも批判のつもりが知らず知らずのうちにヒートアップしてしまい(感情的になってしまい)

  • Aさんが出ているドラマ見たけど演技下手すぎ。
    もっとxxxのようにするべきだよね。
    そこんとこ分からないかな。頭悪そうだし...

こんな感じで書いてしまうと、演技についての批判のつもりが「頭悪そうだし」など演技から離れて人格否定や人格攻撃にもなり、いつの間にか誹謗中傷にもなりそうです。

批判は表現の自由の中で保障されているものですし、これなくしては何も改善・発展しないとも言えることから、「保証されている」というよりブログの記事を書く上でも「なくてはならないもの」とも言えると思います。
(世界は批判の中で発展しているのだ)

でも一歩枠を超えると誹謗中傷にもなり得ますので、そこは冷静に自分の書く文章を見つめることもブログで記事を書く場合にはポイントになりますね。

また批判は会話のキャッチボールが出来る内容、と考えても良さそうです。

どこどこが悪い、という批判であれば、言われた側もそれに対して
「なるほどね。でもこれはxxxという理由があるのだよ...」とか
「そうした見方もあるのか。では次からは...」
など会話の続きが生まれ、その中で質の向上(何かの発展)にもつながる。

でも「頭悪そうだよね」なんて言われたら
「ふざけるな!」
「お前こそxxx!」
といわゆる「子供の喧嘩」になりそうで、
こうしたものは批判ではなく誹謗中傷と考えて良さそうです。

ネットの掲示板とかで見かける「お前はxxx人か」という発言もそうで、そこからは何も生まれず、単に悪口を言っているだけの誹謗中傷(名誉棄損や侮辱など)に相当するものと考えらそうですよね。一度ネットの掲示板にある色々なコメント(特に事件やスキャンダルなどネガティブなニュースに対するコメント)を、これは批判だな、これは誹謗中傷にあたりそう、など考えながら見てみるのも誹謗中傷や批判に対しての理解が深まりそう。

記事を書く対象が物であっても、自分や自分に近しい人が持っている物に対して同じことが言われたらどう思うか、とか、対象が人であれば、自分や自分の近しい人が同じことを言われたらどう思うのか、など、そうした視点で記事を書くことが自然と誹謗中傷を避けることにもなると思います。

誹謗中傷のリスク

誹謗中傷をブログの記事に書いた場合のリスクはどんな点にあるのかを考えれば、ここまで見たように日本の法律的に名誉棄損や侮辱罪などにつながる可能性もあり、そうでなくてもアドセンスのポリシー違反(アドセンス以外でも使用している広告サービスのポリシー違反)になる可能性が出てきます。

ある日突然ペナルティ?

名誉棄損や侮辱罪などは親告罪(訴えが必要な犯罪)で、逆に言えば、訴えられない限り問題にならないということにもなりますが、誹謗中傷を書きそれが元になり(その内容が拡散されたりして)対象の人や関連する会社の社会的活動に影響が出れば訴えられる可能性も大きくなりそうです。

(誹謗中傷により人気が落ちて仕事が減るとか、売り上げが落ちる、など経済的(お金的な)影響がでれば可能性も大きくなるのは当然と言えば当然)

「いや、そこまで行くとは考えられない」
「この程度は良いでしょう」

などあまり気にせず記事を書いていると(そうした書き方に慣れてしまうと)、アドセンスを使って収益化しているブログであればアドセンスのポリシー違反としてある日突然ペナルティ対象になる可能性もあります。

ペナルティの対象になれば、程度によって以下のようなことにもなりますね。

  • そのページへの広告配信が停止される
  • 検索順位では圏外に飛ばされたり、そもそも検索結果に表示されなくなったりする
  • より重く受け止められれば、ブログ全体が圏外に飛ばされたりする
    (アクセスがある日突然ゼロになる=ある日突然収益がゼロになる)
  • そもそもアカウント自体が停止される
    (アドセンス広告が一生使えなくなる)

※)なぜポリシー違反がこうしたペナルティ対象になるかは、グーグルのビジネスモデル(検索エンジンと広告主の関係)を考えれば分かると思います。

自分のブログはまだアクセスもそれほどない弱小ブログだから(グーグルから見て目立たないから)別に問題とされないだろう、という考えもありますし、芸能事務所や著名人がネットにあまたあるブログに対し時間を使っていちいち確認しないし訴えることもない、という考え方もあると思います。

ただグーグルには当たり前というか当然のように
「ポリシー違反の報告」のページも用意されてます

芸能人やその会社などが法的な手段で訴える、というところまで行かないにしても(訴えるにしても時間や労力がかかるし、訴えることで更に注目を集めてしまう結果にもつながる可能性もあるし)、でもたとえば有名人が「xxの件で誹謗中傷が多く書かれているのを目にして苦痛だ。なんとかならないか」などスタッフに相談し、そのスタッフが複数人でこのポリシー違反の報告を活用して「これはひどいよね」というブログを1つ1つ報告していく、なんてこともありそうです。

その報告をグーグルがチェックしその結果どうなるか、など想像するのも、ブログで記事を書く時の視点に取り入れても良いですね。

ブログで記事を書く時は、検索からその記事を訪れる人だけでなく、グーグルが直接確認しても問題ないものになっているか、常にグーグルから見られている、という視点をもって進めていくのが良さそうです。

ブログで起こり得る事例

私もこれまで多くのコンサル生とそのブログを直接指導してきてますし、その中でも芸能人を扱うトレンドブログも多くあります。

また私同様コンサル生を持つメンターと呼ばれるネットビジネス仲間ともたまに情報交換することもありますが、ブログを進めている中で実際に名誉棄損などで訴えられたというケースは知りません。(あくまで私の経験上のお話)

当たり前ですが、私含めて普通は誹謗中傷になるような書き方を指導してるわけもなく、そもそもがそうしたことが起こらないよう記事の添削では注意を促したりしてブログを進めているので、該当するケースは起きてないとも言えます。

ただそうした中でも稀に記事の中の「一部の記述に対して削除してほしい」とか、誹謗中傷になってるからとの理由で「記事自体の削除依頼」のケースがあるようですね。
(ファンなど第三者ではなく、記事に直接関係する人や会社からのご連絡)

そうした例では、基本はブログに設置されているお問い合わせフォームから直接連絡、更に稀に使用しているサーバーの運営会社(プロバイダー)を通して「送信防止措置」として連絡が来る場合もあるようです。

※)送信防止措置(プロバイダ責任制限法 第3条第2項第2号
プロバイダーより「こうしたクレームの連絡があった。対応しないと該当記事を削除したりアカウントを凍結するなどの措置するよ」というような連絡

対応はどうしたら良い?

仮に削除してほしいなどの連絡があった時どう対処するかもブログ運営にとってポイントの1つになると思いますが、「連絡してきた方の要望に沿った対応を考える」ことをまず基本とするのが良いと思います。

運営しているブログの位置づけによりますが、
例えばかなりの規模のサイトやブログの場合(掲示板や個人ではなく会社として運営している場合など)や、アドセンスとかは貼ってあるけどそれはおまけで「何かの主義主張をメインにしている」などのサイト(xxxを追求せよ!みたいな信念あるサイトなど)。

こうしたサイトでは依頼があってもおいそれと削除すると利用者から見た信用にかかわる、ブログの趣旨から(削除してほしいとしている)その理由が十分と思えずそれだけでは外せない、などの場合もあるでしょう。
(こうなるとお互いの主張がぶつかり合い平行線。最後は裁判で決着をつける、というものにもなりますね)

でも普通に個人で「ブログを楽しみながら収益化もしている」という、何か特別なこだわりもなく普通に運営されているブログでは「直接の関係者がそうして欲しいと思っている」ことを一番に考え、削除なら削除していくのが良いと思います。

記事の中の一部の削除依頼もそうですし、ましてや該当の記事自体の削除依頼ともなると、なにかその記事を書いた自分の人格を否定されてしまったような感じにもなるでしょう。

たとえ世間一般から見て大したことないトレンド記事1つでも、色々調べたり文章考えたり画像を選んだりした苦労やそのために使った時間、その記事で集めているアクセス、そうしたものを一瞬で削除することにもなり、残念とかとか悲しいとか、全然納得いかないなど、言い表しようのない悔しい気持ちにもなると思います。
(ある意味、逆に誹謗中傷を受けたみたいな感じにもなると思います)

でもそこは一歩下がって大きな視点で見てみる。

所詮、と言っては何ですが、普通に運営する個人のブログでは、記事自体を削除するにしても多くある記事の中の1つに過ぎませんし、書く記事は他にもたくさんある。ドライに言えば、その記事1つにこだわるのは時間や労力の無駄とも考えられるし、サクサクっと対応して次の記事に向かっていくのが精神的にも良い、ブログ運営という視点では建設的、生産的、ともいえると思います。

ちょっと言い換えれば、クールに大人の対応をする、っていうことになりますね。

擁護する記事でも問題とされるケースもある

補足までに、何かスキャンダルにかかわるようなキーワードがあり(たとえば「タレントA 不倫相手」など)、記事の中では「調べたけど~や~の理由からこれは完全にデマだと思う」というような「擁護している記事」にも名誉棄損などの理由からその記事の削除依頼が来るケースもあるようです。

なんで?とも思いますが、こうした記事で削除依頼が来た場合、
依頼主はその記事の内容自体を問題視しているのではなく、そもそもそうした事実(真実やデマ)自体をネット上から消し去りたい、というのがその依頼の趣旨と考えられます。

削除を求める理由に対して「いや、誹謗中傷にはなってなく噂を否定して擁護してるんですが...」(つまり誹謗中傷ではなく批判を書いている)など反論してもあまり意味がない、ということにもなりますね。

誹謗中傷にあたらない内容でも、その記事の内容に直接関連する人や会社が何か不快に思えば、それを取り除くことも健全なブログ運営につながると思います。

ブログを運営している中で、直接の関係者から何か削除や修正の依頼が来たら、まずは大きく深呼吸してクールダウン。その上で、依頼の意図を汲んで冷静に対応していくのが良いですね。

勘違いしそうなポイント

芸能人は公人で何を言っても良い?

ネット、SNSで見かけることもあると思いますが、芸能人(や有名人、著名人)についての勘違いしそうなポイントを参考までに。

「芸能人は公人だから何を書いても良い」、
「芸能人は(メディアに姿をさらしているのだから)プライバシーなどない」、

こうしたコメントを見かける場合もありますが、芸能人は公人ではなく一般人。
※)公人:政治家や公務員など公務についている人

また公人について「公人だから何を書いても良い」という見方も正しくないようです。

よく週刊誌などでスクープとして政治家などの良くない側面が記事として載ることもありますが、そうした記事の掲載で問題とならない場合は法律的な定義があり「公共性があり公益を図る目的であり真実である(または真実に相当する根拠がある)」という場合に限るようです。
(刑法第 三十四章 第二百三十条の二 刑法230条:公共の利害に関する場合の特例

実際の法律内容はこちら

(公共の利害に関する場合の特例)
第二百三十条の二 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。

3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

たとえば政治家であればそうした記事を出すことで、民意を反映する選挙時の1つの判断材料にする(結果として政治に反映され自分たちの生活に影響する)ということで公共性、公益という点で問題なしと判断されるような記事になるのでしょう。

逆に言えば、たとえ公人でも公共性、公益、という点が満たされてなければ、名誉棄損や侮辱罪にもつながる内容になる、ということになりますね。

では芸能人(やその他有名人、著名人)ではどうかといえば、だれもが知っている方、TVなどメディアでよく見る方の場合でも、そもそも公人ではなく一般人。
(公務についているわけではありませんので)

芸能人についてブログで記事にする内容はゴシップ系(スキャンダルや不祥事、興味本位のうわさ話)が多いと思いますが、公共性、公益、という点で見れば、それは違うよね、という場合がほとんどになると思いますし(単なる好奇心から知りたい、見たい、でも自分の生活には全く影響はない、という場合がほとんど)、そもそも公人ではなく一般人ということから、個人のブログでも何を書いても良いということにもならず、今回見てきた誹謗中傷にならないようには気をつける、ってことになりますね。

誰かが分からなければ良い?

誹謗中傷をブログの記事で書く、という場合、相手が誰か分からなければいいんだよね、みたいに考える方もいるようです。

確かに上の方で見た名誉棄損や侮辱罪では「同定可能性」、つまり「この人のことを書いてるよ」と対象となる人が明らかである必要があるようです。

対象となる人が明らかである、という点では
たとえ実名を出さずイニシャルとかで表現されていても、その内容から誰から見ても明らかに「あの人のことを書いている」とその人物が特定できれば、名誉棄損などに該当することになるようですね。

また、そもそもアドセンスなどの広告を使っていれば、日本の刑法などに抵触しなくても(相手が特定できないとしても)誹謗中傷ととらえられるような表現があちらこちらに出てくるとなると、アドセンスならアドセンス、アドセンス以外の広告サービスならその広告サービスのポリシーに照らし合わせて、

「わが社が提供する広告を使用する価値のないサイト」

と判断される可能性も大きくなり、
そうなると広告配信停止や(グーグルであれば)圏外に飛ばされる、アカウント停止などのペナルティが待ってます。

誹謗中傷みたいに見える内容が多いかもしれないけど書きたい、言いたい、だけであれば、何もネット上に、しかも自分のブログの記事として公開する必要もなくノートなど日記に書いておけば良いですし、誰かに聞いてもらいたいんだ、ということであれば、知恵袋などネット上には相談できるサービスなどもあるのでそれらを利用する、などもありますね。

(でも誹謗中傷的な内容だけでは、逆にコテンパンに叩かれて打ちのめされる、みたいにもなりそうですが。いわゆる炎上ってやつですね。踏んだり蹴ったり的な...)

今回のポイント

  • ブログの記事には、誹謗中傷と受け取られることは書かない
  • 誹謗中傷と批判とはしっかり区別する
  • 誹謗中傷とは、根拠のありなしや真実であるかどうかは関係なく、対象の人や物に対して名誉を傷つけたり社会的な信用を落とすようなことを書いたり、侮辱的なことを表現すること
  • 批判とは、批評して判断したり物事を判定・評価すること
    (問題点の指摘、改善につながるもの)
  • 誹謗中傷に関連する法律には、名誉棄損罪や侮辱罪などがある
  • ブログでは、記事の対象となる人やものに対して、その人が読んだらどう思うか、自分に対して同じことを書かれたらどう思うかを考えて記事を書くことがポイント

記事の対象が人である場合には、それが芸能人であれその他著名人であれ、仮にその人が読んでも、「面白いこと書くな」「そうした見方もあるのね」「この視点は気が付かなかった」など思ってもらえる記事になると良いですね。

批判と聞くと何か悪いことを書く、みたいにも捉えられますが、良し悪しを評価して自分なりの感想や問題点指摘、改善につながる内容(提案)になるものです。

何か悪い印象のある内容を書く場合には、単に問題点の指摘だけでなく、改善につながる提案などを必ず添えるという点も意識していくのも記事を書く上では大きなポイント。

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