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ブログやサイトから、別のブログやサイト、または個別の記事に「リンクを許可なく勝手に貼っても良いか」という点では、大原則として「リンクは勝手に貼っても良い」「無断でリンクしても良い」ということになると思います。
ただし、これはあくまで原則的な考え方。
大元であるWeb(ブログやサイト、と大雑把に捉えておけば良いです)の誕生の思想やWebの仕組みからすれば「リンクは勝手にしても良い」ということになると思いますが、そうはいっても、リンクの仕方によっては「これはダメ」という場合もあります。
また最近ではWeb誕生のころに比べて、権利(主に著作権)に対する意識や考えも変わってきてますし、技術の進化でリンク手段の複雑化もあり、そうした背景から本当に「勝手にリンクしてもよいのかな」というのも気になるところ。
ここでは、実際どうなのか、どういったリンクがダメなのか、掘り下げて見ていきましょう。
大原則は「リンクフリー」
まず大元となる考え方は「リンクフリー」。
リンクフリーは和製英語ですが、つまり「リンクは断りなく自由に行ってよい」という考え方。
これはネット(Web)が誕生した当時の思想からくるもので、今でもW3C(Web標準化を進めている非営利団体)のサイトで、Web創始者「ティム・バーナーズ=リー」のこの思想に関する言葉が残ってます。(以下)
There is no reason to have to ask before making a link to another site
Links and Law: Myths(W3C)
「他のサイトにリンクするのには事前に聞く理由はないよ」、という意味になりますね。
リンクは自由に行っても良いと説明する場合、その根拠としてこの言葉が紹介される場合も多いですが、これだけではフェイクニュースなどで話題になるような「部分的に言葉を切り取っただけ」になりそうです。
より詳しく確認したい場合には、
上のリンク先のページを日本語訳だけでも一度眺めてみると良いです。
(日経新聞の話題もでてきますし、最下段には、個人的な意見であってW3Cのポリシーとは関係ないよ、とも書かれてますので)
また「リンク」はWebの生命線とも呼ばれる機能で(これなくしてネットは成り立たないし、発展もしない)、非常に簡易にできる仕組みを持っています。
(URLを貼るだけ、文字列にURLを貼るだけ!みたいな。他の形式もありますが)
そもそもネットで情報を公開する、ブログで記事を公開する、それにパスワードなどをかけて特定の人以外にしか見れない状態にしてない、ということは、だれでも自由に閲覧できるということ。
ネットの仕組み上で言えば、その閲覧先をリンクで紹介する、というだけです。
こうした意味では、リンクで単に紹介するだけなら、だれでもやっても良い、ということが言えますね。
- ポイントその1)
元々のWebの思想、その仕組みから見ると、
大原則としては「リンクは自由に行ってよい」と言えそう
著作権との関係
そこで次は何かの規定があるのか、法律的にはどうか、という点を見てみましょう。
W3Cの考え方
まずWeb標準化の団体「W3C」にリンクの説明はどうなっているかを見てみると、以下に記載があります。
ここでは、まず「W3Cへのリンク」と、
それを含めて「他のウェブサイトへのリンクは許可は必要がない」という説明がありますね。
著作権的にはどうか
では法律で関係する代表的なところで、著作権的にはどうかと「公益社団法人著作権情報センター CRIC」を参照すると、以下の記載があります。
- 1)リンクは、リンク先を紹介するだけなので、著作権侵害とはならない、というべき
- 2)リンクをする場合に「当方の許諾が必要」とある場合でも、法律的には意味がない
まず1つ目は、リンクは単に紹介するだけで、複製とかするわけではないことから、著作権的には問題ないとするべきところという説明があります。
また「無断でリンクしないでね」と断りのある場合でリンクしたとしても、法的には問題ない、という説明もありますね。(HPなどに情報を載せるのは、ネットワークを通して世界中にその情報が知られる訳で、情報を載せる人もその覚悟を持っていると見るべきだからと説明されてます)
ただリンクと言っても、インラインフレームなどを使って、記事内にリンク先の情報を表示させ、あたかもその記事ののコンテンツのように見せかけるようなリンクは著作権法の中の複製権的に問題があるという説明もありますね。
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また「複製」という点で類似の例で言えば、他サイトの画像のURLを直にリンクして(いわゆる直リンクして)自分のブログで表示する、というのも、直接他のサイトのコンテンツを自分のブログやサイトで表示していることから著作権的には複製にあたりそうなところです。
何気に他のサイトの画像をコピーして貼り付ける、ということをする方がいますが、そもそもそれ自体ダメで、それが更に知らずに直リンクになっていることがあるので要注意です。
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本来①-1の自分のサーバー内にアップロードされた画像を使うべきところ、別のサーバーの画像を直接表示してしまっている
また「無断でリンクしないでね」とある場合にリンクするのは「道義的にどうか」(人としてどうか)というのはまた別問題、ということにもなりそうです。
- ポイントその2)
- リンク先を紹介するだけであれば、著作権侵害とはならない
- リンクの許諾が必要、という場合でも、法律的に問題がない
(ただし、道義的にどうか、というのは別問題)
著作権に問題となるケース
リンクに関しては、以前「ロケットニュース24に関連したリンクの裁判事例」があります。
2011年(平成23年)第15245号 損害賠償等請求事件(pdf)
問題となったのは「著作権者の許諾なくアップロードされた動画」があり、そこへリンクを掲載したこと。
裁判所は、リンク自体は問題ないが、著作権侵害を助長する意図があったとしたら責任を問われる可能性があるという内容のようです。
ブログで収益化を進めていく中で考えられそうなのが、やはりYoutubeなどの動画のリンク。
明らかに違法にコピーしてアップロードされていると分かる動画へのリンクが該当しそう。
こうしたケースがないかは常に意識する必要はありそうですね。
その他3つの法律
著作権とは別に、リンクに関係する法律としては、民法(不法行為法)、不正競争防止法、商標法があるようです。
これらは経済産業省の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(令和4年4月)の中の「Ⅱ-2 他人のホームページにリンクを張る場合の法律上の問題点 」として、著作権含めて情報が公開されてます。
簡単にまとめると、リンクについては以下の様になるようです。
- 1)リンクは原則自由
- 無償で公開している情報へのリンクは、著作権などの権利を侵害しない限り原則自由
- 2)不法行為として責任を問われる可能性があるリンクもある
- 不正に利益を得る目的でのリンク
- リンク先に損害を加えることを目的とするリンク
上の方で見てきたように、ここでもリンクは原則自由、と言われてます。
不法行為、という点については、リンクすることでリンク先とリンク元との関係が勘違いされて、リンク先の名誉や信用が既存されたりする場合はダメ、ということになりそうです。
(たとえば、取引がないのに、大手銀行のリンク先などを載せて信用を得る、とか、アドセンスでは超ド級の禁止コンテンツであるアダルトサイトから女子高や女子大のサイト、個人の女性や女優のページへリンクを張るなどして、あたかも関係者と誤解されるような、リンク先の名誉や信用を著しく傷つけるなど)
不正競争防止法、という点では、たとえば「競争相手」の「サイトや記事」をリンクし、虚偽の事実を表示したりしてリンク先となる相手の信用を落としたりする場合や、自分のコンテンツではないのに、フレーム内にリンク先の情報を記事内の情報の様に直接表示して、あたかも自分の商品のように読者に勘違いさせるなどの場合はダメ、ということになりそうです。
商標法、という点では、リンクをする際にリンクボタン形式にして、そのボタンにリンク先の企業のロゴなどを許可も得ずに勝手に使用する、というような場合に問題となりそうです。
著作権的なことも書かれてますが、1つ上で見たで見た 公益社団法人著作権情報センター の内容に基本同じで更に詳しく「リンク先の情報があたかもそのサイトのコンテンツの様に間違われる場合には問題となる可能性がある」ということを解説しています。
- ポイントその3)
不法行為として責任を問われる可能性があるリンクはダメ
(名誉や信用を傷つけたり、リンク先との関係を誤解させるようなもの、勝手にロゴなどを使うものなど)
無断リンクお断り
ここまで見てきたように、リンク先が「無断リンクはダメです」「リンクをするには許諾を得てください」としていても、原則、リンクしても法律的には問題ない、と言えそうです。
ただし、著作権含めた法律関係のところで見たように、リンク先に対し、誤解を与えたり、何らかの損害を与えるようなリンクはダメ、ということになりますね。
また上の方でも出て来てますが、
道義的な問題(嫌だ!といっているのに、隠れてそれをするのは人としてどうか、という問題)もありますので、リンク先のサイトの利用規約、プライバシーポリシー、リンクポリシーなどがあれば確認し、状況に合わせて事前に問い合わせる、などが必要そうです。
- ポイントその4)
- 無断リンク禁止では、リンクしても法律的には問題ない
- ただし、道義的な話もあるので、利用規約などを確認し、状況に応じて問い合わせなどで確認するのが良い
参考までに、代表例として省庁や新聞社のリンクポリシーをいくつか見てみると、以下のような感じです。(2025年2月時点)
リンク、著作権等について | 首相官邸ホームページ
- 「首相官邸ホームページ」(以下、「当ホームページ」といいます。)へのリンクは、原則フリーです。ただし、各情報においてリンクの制限等の注記がある場合には、この限りではありません。
- リンクの設定をされる際は、「首相官邸ホームページ」へのリンクである旨を明示してください。事前の御連絡は必要ありません。
- リンクの設定をされる際は、当ホームページが他のホームページ中に組み込まれるようなリンクの設定はせず、必ず新しいウインドウが開かれるような設定でリンクしてください。
法務省ウェブサイトへのリンクについては、自由に設定していただいて差し支えありません。リンクを設定した旨の当省への御連絡も不要です。
法務省:ご利用にあたって
また、法務省ロゴマークを使用して、法務省ウェブサイトへのリンクを設定する場合は、右のバナー画像を御利用ください。ただし、この画像を法務省ウェブサイトへのリンク以外の用途に使用することはできません。
TBS のホームページへのリンク設定は、運営主体が団体、企業、個人問わず、どのページからも可能です。リンク先としては、TBS のどのページへも設定ができます。ただし、ページに含まれる一部のデータだけにリンクを設定し、TBS のオリジナルページデザインを改変するようなリンク設定は、一切お断りいたします。
著作権とリンク|TBSテレビ
朝日新聞デジタルへのリンクは、営利を目的とせず、フレームなしで行うなど一定の条件を満たしている限り、原則として自由です。
朝日新聞デジタルにリンクを張った際は、そのサイトの内容とアドレス及びリンクの趣旨、お名前、ご連絡先、下記の注意事項を了解した上でリンクした旨などを記載し、お問い合わせフォームからお知らせください。朝日新聞デジタルの趣旨に合わない場合や、朝日新聞社の事業等を害する恐れがある場合は、リンク自体をお断りすることがあります。
朝日新聞デジタル:リンクについて
注意事項があるものもありますが、いずれもざっくり言えば、法令に抵触しない範囲でリンクは自由、というものになりそうです。
最後の朝日新聞デジタルの例は、上の方で見た法律関連のところにも出てきたように、リンク先が不利益を被らないようなリンクとなっているか確認したい、ということですね。企業としては至極真っ当なことだと思います。
SEO的な話し
最後に、これまでとは少し異なる「SEO的な観点」(検索結果の上位表示をするための対策観点)からみておきましょう。
質の悪いリンクはお断り
別のサイトからリンクをされると、いわゆる「被リンクを得る」ということになり 、検索結果の上位表示に効果があると言われています。(というか経験的にもそうのようですね)
実際グーグルでも以前は以下のように説明してました。
(2025年2月現在では、この記載もどこか別に移動したようですが)
ページ A からページ B へのリンクはページ A からページ B への票として解釈されます。「重要度」の高いページによって投じられた票はより高く評価され、それを受け取ったページを重要なサイトと判断します。
Google と相性の良いサイトを作成する方法(Googleサーチコンソールヘルプ)
リンクを人気投票に例えて、リンクされるのは、それだけその記事が人気のある証であり、更に重要度の高いとグーグルが判断したサイトからのリンクは、その1票の価値が高く、リンクされたページ(サイト)の価値も高くなる。
グーグルから価値が高い記事/サイトと判断されれば、検索結果の上位に表示されることが期待できるので、「被リンクを得ること」(他サイトからリンクされること)はSEO的にはとても重要視される項目の1つです。
このことから逆に、価値の低いサイト(質の悪いサイト)からのリンクは評価を下げる、として、リンクされるのを嫌う、リンクを回避する、という考え方もあり、だから「勝手にリンクするな」「無断でリンクしないでね」という理由の1つとして考えられそうです。
実際グーグルでは、質の悪いサイト(グーグルの「品質に関するガイドライン」に違反しているサイト)からリンクされることにより、リンクされたサイトに対して、
「このサイトは不正に良い評価を得ようとして何か小細工してそうだぞよ」
などと勘違いされ、ペナルティを受けてしまう(評価が下げられ、検索順位も落ちるなど)ことがあるようです。
自分のサイトへの不自然なリンクに対して手動で対策を行っている場合や、スパムに関するポリシーに違反する有料リンクなどのリンク プログラムに対処するために、手動で対策を行おうとしている場合は、他サイトからの自分のサイトへのそのようなリンクを削除してください。自分ではリンクを削除できず、削除してもらうこともできない場合は、リンク元の疑わしいページやドメインの URL を「否認」します。
バックリンクを否認する(グーグルサーチコンソールヘルプ)
こうした質の悪いリンクを削除する手段もグーグルでは用意してますが(上の引用の参照元「バックリンクを否認する」を見てみてください)これらからすると、いくら普通にリンクをするのは自由だ、といっても「勝手にリンクされるのは困る」、という考え方もあり、「無断リンクはダメ!」ということにもつながりそうです。
「無断リンクは禁止」としている場合、このようなSEO観点からの理由がある場合もあり、道義的な側面も考えて、リンクをする場合には、リンクしたいがどうか、とお伺い立てるのも1つの道かな、というところです。
- ポイント5)SEO的な観点
- 評価の高いサイトからのリンクは、評価を得られる票となる
- 逆に質の悪いサイトからのリンクは逆効果にもなるので、リンクを嫌う場合がある
nofollowを設定する
リンクすることで、リンク先のサイトに何か迷惑をかけないか、など、物凄く気になる場合には、リンクはするけど metaタグというのを使って「nofollowを設定する」というのもありますね。
リンクにこの「nofollow」を設定しておくと、グーグルに対して、このリンクの先は見なくていいよ、関係ないよ、と通知を行うものになります。(サーチエンジン対策の1つなので、上で見た法的観点で見た場合とは異なるものにはなりますが)
nofollowは、最近のテーマ(Cocoonなど)ではテーマの設定の中にありますし、テーマの設定の中になくてもプラグインを活用すると簡単に設定できるようになります。
詳しくは以下の記事を見てみてください。
今回のまとめ
ブログでリンクを勝手に貼って良いか、という点をまとめると、...
- リンクは、原則として自由に行って良い
- 責任の問われるリンクは除く
- フレーム内にリンク先の情報を表示して、あたかも記事内のコンテンツの一部として見せる、などはご法度。
- 無断リンク禁止、と明示されている場合、リンクしても法律的には問題ない
- 責任の問われるリンクは除く
- リンクされることにより不利益を被らないか、とか、SEO的な考え方など、サイト運営者の考えがあるので、問い合わせをするのが良い
- してはいけないリンクもあるので注意
- 不法行為として責任を問われる可能性があるリンク
- リンク元とリンク先の関係を勘違いさせて利益を得るものや、リンク先の名誉や信用を傷つけるようなもの、リンク先に不利益をもたらすようなものはダメ
このサイトにしてもリンクはご自由にどうぞとしてますし、法令違反もなく読者のためになる情報を発信しているブログやサイトであれば、まず断りなしでリンクしてもまずは問題ない、と言えそうです。
リンクする前に事前に問い合わせる、という点については、私の場合もこうした問い合わせをいただく場合もありますが、相手の事をしっかり考えている方だな、と思うと同時に、それでもあまり気にし過ぎると、そもそもWebの理念から少し外れてWeb自体の発展の妨げにつながる可能性もあるため、まずは光り輝く健全なサイト運営をする、その上で必要に応じてリンクする、としていくのが良さそうです。
また、ネットで収益化を図りたい、ブログを学びたい、伸び悩んでいて道に迷っている、という場合には、以下のメルマガにも登録してみてくださいね。
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