先の見通しが立てづらい昨今、自分の将来が特に不安になりがちです。

その中でも「あると思っていたもの」がなくなると大痛手。ある日突然途方に暮れてしまう事にもつながります。

ここでいう「あると思っていたもの」とは、最近噂の「厚生年金基金」。

会社でバリバリ働いている間は、そもそも年金すらあまり意識していないことも多いですが(私がそうでした)、先行き不安なこの世の中。あれこれと色々意識したほうが良さそうです。

最近のニュースによれば、2014年末時点で厚生年金基金について290もの基金が解散を予定している、ということで、大きな問題にもなってます。さて、これは一体どうなっているんでしょう?

少し整理して一緒にここで見てみましょう。

年金のおさらい

まずは少し年金のおさらいから。

年金はよく2階建てとか3階建てとか言われます。

  • 3階 企業年金(や職域加算)
  • 2階 厚生年金(や共済年金)
  • 1階 国民年金

pension

図で見てみれば、ざっとこんな感じになりますね?
そこで、1階から順番に1つ1つ簡単に見てみると、

  • 1階 国民年金
    年金の基本。
    基礎年金と呼ばれ、日本国民は基本加入。
    20歳以上60歳未満のすべての人が対象。
  • 2階 厚生年金(や共済年金)
    会社員に関連するのが厚生年金。
    公務員・私立学校教職員などは共済年金。
    自営業は含まれません。
  • 3階 企業年金(や職域加算)
    企業年金は、会社独自の年金制度。
    会社によってあるところ、ないところがあります。
    これに対して公務員にも公務員独自の上乗せ制度「職域加算」がありますが、こちらは例外なくあります。

ということから、サラリーマンに特化して見れば3階建て。

  • サラリーマンは3階建て!
    • 国民年金
    • 厚生年金
    • 企業年金

このようにサラリーマンには3つの年金があるわけですが、今回の騒動の「厚生年金基金」。この内のどれに関連してくると思いますか? 厚生年金? いやいや実は...

  • 厚生年金基金は、企業年金のこと

混同しがちな「厚生年金」は国が運営する公的年金。一方「厚生年金基金」の運営主体は企業です。いわば各企業の私的年金。

この「厚生年金基金」、以前大きなところでは、AIJの企業年金流出問題でも大きな話題となりました。

  • 厚生年金:国が運営する公的年金
  • 厚生年金基金:各企業が運営する私的年金

厚生年金基金ってどれほどあるの?

この問題になっている厚生年金基金とは、どれほどの数があるのでしょう? 厚生労働省発表の資料を見れば、平成27年1月末日現在の厚生年金基金の数は471基金。

  • 厚生年金基金の数
    約471基金
    2015年(平成27年)1月末時点

厚生労働省の発表と上手くリンクが取られてないかもしれませんが、具体的な企業の一覧は以下のサイトで見られます。

大手企業は既に撤退済との話も聞きますが、こうしてリストを見てみると、大手企業や連合と思われる基金もまだまだ多いですね。

問題は深刻 290

そして今回の問題です。

話題になっているのは「290もの厚生年金基金が解散予定」というものです。

厚生労働省からは、平成27年1月末日現在の471基金のうち、368基金が解散や代行返上の内諾済と発表されています。

  • 解散の内諾済:279基金
  • 代行返上の内諾済:89基金

ということは、その後更に解散の内諾済が増えて290にもなっている状況、ということです。

なんでこうなった?

どうしてこういう状況になっているんでしょう?

厚生年金基金とは、国の厚生年金からお金を借りて、その運用益から社員の老後の備えを会社が用意する、という仕組み。(そうか、だから名前が厚生年金基金なんだ)企業の福祉制度の一つである退職一時金として始まったものですね。

初めのうちは順調だったのですが、それが平成に入ってからは大苦戦。そもそも厚生年金からの借り入れの金利が5.5%にもなっていて、これ以上の利益を生み出していかなければ勿論借金が膨らむばかりです。

まず最初に大手企業が手を引き始めます。そうれはそうです。運用での赤字規模が拡大継続すれば、企業の存続にも影響がでます。そして決断できなかった企業は続々と赤字へ転落していき、今の状況になっている、というわけですね。

その影響はどうなる?

こうなると、その企業に努めている方々も心配です。

企業年金は公的年金ではなく、各々会社独自のもの。つまりは解散すれば、予定されていた企業年金がなくなったり減額されることにもつながります。

分配金や返金は?

今まで見てきたように、企業年金はその企業独自のもの。解散により何がどうなるか、分配金や返金、といった措置が取られるのかどうかは、公的年金制度ではないため、会社の関連部署に直接問い合わせるしかありません。

不安な年金制度

国民年金などの水準低下が懸念される昨今、企業年金といえば、特に老後の生活保障に対する役割は大きくなっているところへこの状態。老後を一層不安にさせる問題ですが、歯止めはもう効かないのかもしれません。

まとめ

  • サラリーマンにとっての年金は3階建てで、種類は、国民年金、厚生年金、企業年金。
  • 厚生年金基金は、企業年金に関連する。
  • 2015年1月末では471基金ある厚生年金基金。その内290もの基金が解散予定。
  • 公的年金ではない厚生年金基金。解散すれば、予定されていた企業年金がなくなったり減額させることにつながる可能性がある。
  • 具体的影響には、会社独自のものであるため、会社に問い合わせて情報を得るしかない。

今後を考える

老後を身近に感じている人、まだまだ先と考えている人、いろいろだと思いますが、将来は中々見通しづらいもの。

このサイトでも良く記事にする年金ですが、1つ1つの問題もさることながら、そもそも来たるべく少子高齢化の時代に向け、年金自体がどうなってしまうのか、それに対して自分たちは何をして行ったら良いのかを、よく考えていく必要のある時期に来ています。

想定額が受給できない、想定していた開始年齢が後ろ倒しにされてしまった、などと「あてにしていたもの」がなくなると、いきなり生活が危機に瀕します。

ただでさえ、日々の支出に毎月出て行く住宅ローンの費用や保険料を考えれば、楽しみを削ってギリギリの生活を送っている家庭も多いでしょう。多少の贅沢はできても、果たして老後に向けてどれほど準備ができることか。

こうした状況の中、単に会社や組織からの収入だけで将来までを全てカバーしていく、というのは中々できることではないでしょう。住宅ローン破産する人も年々増加し、ある日突然生活維持ができなくなる、という人も多くなってきています。

今後に向けて、少しでも経済的に安定する方向にもっていくには、新たな収入源を考える必要性が益々高まってきていると思います。

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