景気の上向きが中々実感できない昨今、ボーナスUPや賃上げもニュースで大きく取り扱われてますが、今も昔も変わらないのが不当解雇。
理由が不十分なまま解雇され、中には「明日からこなくていいから」みたいな、理由も告げられずにいきなりクビ、みたいなケースもあると思いますが、これらは勿論違法です。
経営側も法律にのっとり事業展開している中、労働者側もしっかり法律で守られています。
それでも色々な理由で結果「解雇」となり、金銭解決という方向になった場合、解決金の相場ってあるんでしょうか?
Contents
解雇は結婚と同じ?
「解雇」は「退職」と異なり、経営者側(会社側)が正当な理由を持って執行するもの。
意識しているしていないにかかわらず、元々は雇用する側と雇用される側の間に労働契約があり、雇用期間が満了する前にクビとなるケースです。
それでも法律に照らして見れば、不当に解雇となっているケースも後を絶たず、何年も前から検討されている「解雇に対する金銭解決制度」(解決金制度)の導入も視野に入ってきています。
金銭解決とは
労働契約は、言ってみれば結婚と似ています。
結婚でも二人が別れる時、お互いが納得する中で円満に離婚となる場合もあれば、不当な理由で離婚となるケースも多々あります。
不当な理由での離婚では、勿論離婚にあたり「慰謝料」が発生しますが、これは「解雇」でも同じ事。
不当な理由で労働契約の途中終了(つまり解雇)を告げられた場合には、当然、それに見合った代償がともないます。
1つは職場への復帰ですが、もう1つは退職前提で金銭による解決、という形をとります。
金銭解決の相場は?
金銭解決の制度導入が検討されてますが、それでも解決金の基準はまだまだこれからの議論。
そこで、現状でも適宜行われている金銭解決の相場はどれほどか、ここで見てみましょう。
解雇の無効で職場復帰
職場復帰の場合では、裁判の決着までかかった年月分の給料が支払われることになります。
それでも、もう会社と労働者の関係は裁判になった時点でこじれてるわけで、解雇は不当、となれば、改めて協議して
・会社への復帰はなし(つまり退職)
・代わりに金銭で解決する
という流れになることが多いようです。
調査によれば、復職するのは1/3、退職の道を選ぶのは2/3ぐらいとか。
実際には、判決がおりるのには何か月とか1年(最高裁までとなれば3年)など長い時間がかかり、判決が出る前に退職を前提に当事者同士で金銭による解決を探るパターンも多いようです。
相場は8.11か月?
会社への復帰はなしで金銭解決の場合の相場となると、ある弁護士では、
- 給料の3カ月分~6ヶ月分
と言われています。
月給50万円の人では「150万円~300万円」ぐらい。
明らかに「不当な解雇」という判断がされる以前であり、解決スピード重視の和解であれば、だいたいこのぐらいの相場となるのでしょう。
また、解雇の金銭補償:裁判でいくら払われるか?の調査では、
- おおよそ紛争期間×0.5カ月分
月給50万円の人が1年争っても300万円。
大体、上に出てきた弁護士の感覚と同じです。
また、その他、弁護士を対象とする独自アンケート調査(解雇の金銭解決」の相場観 http://www.roumuya.net/zakkan/zakkan17/kinsen.html(リンク切れ))ではかなり異なり、
- 判決が出た場合:平均43.67か月
(最低2か月~最高202か月)、 - 和解で終わった場合:平均14.26か月
(最低1か月~最高95か月)
となっているようです。
※)裁判が行われている期間も賃金が支払われていたとして計算されているようです。金額の水準から退職金が含まれている模様。
また、退職金や裁判期間中の給与支払いの考慮を除くと、
- 判決が出た場合:平均8.11か月
(最低マイナス12か月~最高60か月) - 和解で終わった場合:平均2.80
(最低マイナス50か月~最高64か月)
以上から見てみると、現状の相場感は「紛争期間×0.5カ月分」とも考えられますが、制度化されるとなると最後に出てきた、解雇は不当と判決が出た場合の「8.11か月」が1つの目安になるかも知れません。(給料50万円の人で約400万円)
複雑な基準決め
不当解雇はさまざまなケースがあり、また、金銭解決における考え方も、
- 勤続年数や賃金の高い人ほど高くするのか、
- それでも年齢の高い人ほど残りの勤続年数は短いことから損害は少ないと考えて低くするのか、
- 解雇とまではいかないまでも労働者にも一定の非がある場合も多く、この場合は減額するのか、どういった場合にどれほど減額するのか、
などなど、基準決めはかなり複雑になりそうです。
復職の意思がなくても訴えられる?
補足ですが、不当な解雇である、ということで裁判を起こす場合、復職の意思がなくても裁判にもっていって良いものか?と考える方も多いようです。
答えは「訴えても問題なし」。
裁判は復職の意思があるなしに関わらず「不当な解雇であったかどうか」を審理するためのもの。
この意味では、既に再就職していても訴えて問題ないことになりますね。
ただし、労働者側の主張が通り「解雇は不当であった」となった場合、まだ就職先が決まってない場合は判決までの月日の給料が支払われることになりそうですが、再就職している場合には「既に復職の意思なし」と受け取られる可能性も高く、再就職するまでの月日の給料分しか支払われない、となりそうです。
まとめ
- 不当な解雇を金銭で解決する場合の相場は、現状、
- 給料の3カ月分~6ヶ月分
- 紛争期間×0.5カ月分
- 判決が出た場合:平均8.11か月
和解で終わった場合:平均2.80
等と言われている。
- 金銭解決を制度化する場合、これらの数値が1つの目安になりそう。
- ただ、金額の基準は考え方が色々あり、基準決めは複雑になりそう
- 復職の意思がなくても、裁判を起こすことはできる
以上、不当な解雇に対する金銭解決の相場感を見てみましたが、裁判を起こすとなるとそれだけで精神的負担もかかり、生活費に加え「弁護士費用」などの費用も必要となるでしょう。
仮に月給50万円で、と計算しましたが、解決金が300万円、400万円といった額だとすると、精神的負担や金銭的ダメージに対してどれほどの解決となるのでしょうか?
このまま解決金制度の審議が進めば、今後の解決金基準決めには大いに注目が集まるでしょう。
今後を考える
退職も解雇の話もなく、何の心配もない平穏なサラリーマン生活が送られれば、それに越したことはないのかも知れませんが、果たしてあなたの会社はどうでしょうか?
給料のベースアップがニュースで聞かれる昨今、退職、解雇以前に、ただでさえ色々と切り詰めて生活している中で今後を見れば、少子高齢化に伴う海外からの労働者流入、成果主義への拍車で進む2極化、残業代ゼロ法案、と明るい材料がありません。
今のままで行ける、今までやってきたのだから今後も同じようにやって行ける、と考えたいですが、こうした状況の中では会社に依存し続ける、現状維持だけを考えていく、となると、後々つらい状況になるのは十分予想されるところです。
少しでも安定する方向にもっていくには、会社に勤め続ける、稼ぎ口はそこしかない、といった今まで自分が持っている常識から離れ、新たな収入源を考える必要性が高まっているでしょう。
現在私は、自分の体験を通し、先を見越して何かしなければ、と考えている人向けにメルマガを配信しています。詳しくはこちらをご覧ください。