年金とは、日本だけの制度ではなく、実は世界各国で運用されている仕組みです。他の国の年金と比べた場合、日本の年金のレベルはどれぐらいかご存知ですか?
いやー、結構制度がしっかりしてそうだから上位では? とか、いやいや、年金破綻などと言われているから、もう全然下でしょう、といろいろと想像されますが、年金の世界ランキングを元に、どんな状況か見てみましょう。
その中で、今盛んに言われている年金の支給開始年齢の引き上げについても将来像が見えてきそうです。
果たして67歳や68歳、そして70歳への支給年齢引き上げは間近に迫っているでしょうか?
首位はデンマーク
年金制度の海外比較。
どういう基準で比べられるかといえば、以下の3大要素です。
- 十分性(Adequacy)
公的年金が老後の生活に十分なだけ支払われているか等 - 持続性(Sustainability)
平均寿命と支給開始年齢の関係はよいか、国家の破綻のリスクがなく持続可能なものか等 - 健全性 (Integrity)
年金制度をうまく運用するための見直し機能や透明性が担保されているか等
難しく説明されているようですが、簡単にざっくり言えば、
- 年金は十分支払われているか?
- その年金は持続可能なものか?
- 年金運用の見直しは適宜されているか?
ということです。
このような指標の中で1位に選ばれた国は、北欧諸国の1つ、多くの島を持つ「デンマーク」です。
年金の世界チャンピオン! なんと2012年から3年連続首位というから物凄い。チャンピオンたる理由は以下のとおりです。
- 十分に積み立てられた年金
- 多くの加入者数、
- 優れた資産構成と掛け金の水準、
- 十分な給付レベル、
- 法令の整った個人年金制度
つまり、年金財政はしっかりしていて、それを支える人達も多数。給付金額も生活に対して十分にある。よしよし、という感じです。
世界で唯一最高ランクAを獲得しているといいますから、申し分ないのでしょう。唯一っていうのが凄いですね。デンマークと共にオーストラリア、オランダは3年連続トップ3。
こちらが、そのランキング表。
表を見て分かるように、日本はずっと下方の23位です。
日本は23位
23位だった日本。指数には変化はなく、ここ数年の推移を見てみれば...
比較する国が追加されるごとにどんどんと下へ順位を落としている現状です。そのランクは下位、というか最下位レベル。
日本の年金とはこういった水準だったんですね。
所得代替率が低い
この最下位レベルの評価、最も大きな要因となっているのが「所得代替率が低い」こと。
「所得代替率」とは、現役世代(働く世代)の年収と年金給付額の比率を指します。現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較して、年金受給開始時点の年金額がどのくらいの割合かを示すもの。
例えば、所得代替率が50%では、働く世代の手取り額の50%が年金として受け取れる、ということを意味します。
この所得代替率、他の国々に比べかなり低いようで、2013年度では35.6%という数字がでています。ヨーロッパ、北米等の先進国からなる国際機関、OECD(経済協力開発機構)の国々の平均は54%。
確かに日本は低いようですが、それでも元の表を見てみれば、イタリアとかが突出して高く平均を押し上げているようにも見えますね。
それでも低いには違いありません。
上げる努力はしたいものですが、少子高齢化が進む中では、難しいのでしょう。
年金の支給年齢の引き上げ
もう1つの注目点は、年金の支給年齢の引き上げです。
福祉が充実していると言われるヨーロッパでも、イギリスやドイツでは年金支給年齢は引き上げが決定されたりしています。
年金機構のページに記載のある、受給開始の年齢と年齢引き上げ予定を抜き出すと以下のとおりです。
国 | 年金の支給開始年齢 | 今後の支給開始年齢の引き上げ状況 |
ドイツ | 65歳1ヶ月 | 1964年より後に生まれた者の受給開始年齢は67歳 1965年より前に生まれた者は 2012年から2029年にかけて65歳から67歳へ段階的に引き上げ。 |
イギリス | 男性 65歳 女性 61歳 |
女性の受給開始年齢は、2010年から2018年11月にかけて段階的に65歳まで引き上げ。 2020年から2046年にかけて男女とも68歳まで引き上げ。 |
韓国 | 60歳 | 2013年に61歳、以降5年毎に1歳ずつ引き上げられ、2033年に65歳となる |
アメリカ | 66歳 | 2027年までに、受給開始年齢を67歳へ段階的に引き上げ中。 |
ベルギー | 65歳 | |
フランス | 60歳 | 2011年7月1日より、1951年7月1日以降生まれの方は、受給開始年齢が2017年までに段階的に60歳から62歳へ引き上げ。 |
カナダ | 65歳 | |
オーストラリア | 男性 65歳 女性 64歳6ヶ月 |
女性の支給開始年齢は1995年より60歳からの引き上げ移行措置中であり、2014年7月に65歳となる。 男女とも2017年7月1日から2023年7月1日までの間に段階的に増加 して67歳となる。 |
オランダ | 65歳 | 2012年7月から2023年までに段階的に月単位で67歳に引き上げられる |
チェコ | 退職年齢と必要加入期間は段階的に引き上げられ、2030年には65歳になり、加入期間は2019年に35年以上となる)。 | |
スペイン | 65歳 | 2013年から2027年にかけて67歳に引き上げられる。 |
アイルランド | 66歳 | 2021年までに67歳に、2028年までに68歳に引き上げられる。 |
ブラジル | 男性 65歳 女性 60歳 |
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スイス | 男性 65歳 女性 64歳 |
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ハンガリー | 62歳 |
現在、65歳が支給年齢となっている国が多いですが、ドイツ、イギリス、アメリカなどの国では、段階的に67歳や68歳へと引き上げ中。
勿論その国の平均寿命との兼ね合いもありますが、他の国が引き上げているとすれば、長寿国の日本も同じかそれ以上に引き上げを検討する必要もあるでしょう。
ということは、近い将来、他の国と同水準、またはそれ以上となる支給年齢70歳、というのも現実的に考えざるを得ないということですね。
たまに聞く年金受給開始70歳。
こうしてみると、近い将来現実のものとなりそうです。
まとめ
- 年金制度は各国で持っている。
- 世界ランクで見てみれば、一位はデンマーク、日本はほぼ最下位の23位。
- 最下位の要因としては、特に所得代替率が低いこと
- また年金支給開始年齢を見てみれば、多くの国で67歳、68歳への引き上げが行われている。
- 長寿国の日本としては、同水準、またはその上をいく支給年齢70歳への引き上げを、現実的に考える必要があるのが見えてくる。
今後を考えれば
老後にとってとても大切な年金も、少子高齢化に伴いその支給開始年齢、支給額とも今までのようには行きません。どうしても支給開始は遅くなり、支給額も低くなる方向となるのでしょう。
実は私も会社を退職する時点では、将来もらえるであろう年金を結構”当てに”してました。何々、65歳でこれぐらいもらえるかな?とするとこうなるから、お、生活はだいじょうぶそうか...などと取らぬ何かのなんとやら。
それが今では、いや、それは多分ないな、支給開始は67歳とか70歳、それでも支給されればラッキーぐらいで考えておかないといけないな、と思っている今日このごろ。
海外で暮らす身としては、それまで生きてるのかどうなのか、という話もありますが(いや、深い意味はありませんが)、それでも日本に暮らし、身近に病院も沢山あっていつでも診断が受けられる環境にいれば、きっと今の平均寿命以上は元気に暮らしていくことになるでしょう。
今後はそういった方が増えるわけで、それに反して若者が少なくなる。もらえるものも少なくなるわけです。
こうした近未来を考えると不安に包まれますが、だからこそ、これからの事をよく考え、会社一筋に生きていく、といった今までの常識から冷静に一歩離れて、新たな収入源を考える必要性も今まで以上に高まっているでしょう。
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