分かっているようで実は分かっていない最低賃金。
毎年改定されますが、最低賃金には2種類あるって知ってました?
各都道府県で異なる最低賃金。
その推移を見れば毎年上昇しています。
ここでは、そもそも最低賃金とは何か、から、全国平均の推移などを一緒に見てみましょう。
Contents
最低賃金とは
なんとなく分かっているようないないような「最低賃金」。
最低賃金とは何かと言えば「最低賃金法」によって決められている賃金の最低限度。雇用者は、この賃金以上を働いている人に支払わなければいけない、という最低の賃金のこと。働いて受けとる賃金の最低額を法的に保障する制度です。
法律で決まっていることということは、勿論違反した使用者は処罰の対象(30万以下の罰金)となります。
種類は2種類
この最低賃金には2種類あり、
- 地域別最低賃金
産業や職種には関わりなく適用されるもの - 特定最低賃金
各都道府県の特定の事業もしくは職業ごとに設定されるもの
特定最低賃金が少し分かりづらいですが、厚生労働省では以下のように説明しています。
関係労使の申出に基づき最低賃金審議会の調査審議を経て、同審議会が地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めた産業について設定される
ちょっと難しいですが、
各地域で定める地域別最低賃金よりも高く最低賃金を設定したい地域特有の産業に対して、審議会に申請して設定されるもの、という解釈でしょうか。
全国平均の推移
では厚生労働省の資料から、最低賃金(地域別最低賃金)の全国平均の推移を見てみましょう。
最低賃金額は「時間額」で示されますが、過去10年を見てみると、以下のようになっています。
最低賃金額 | 時間額 |
平成17年 2005年 |
668 |
平成18年 2006年 |
673 |
平成19年 2007年 |
687 |
平成20年 2008年 |
703 |
平成21年 2009年 |
713 |
平成22年 20010年 |
730 |
平成23年 20011年 |
737 |
平成24年 2012年 |
749 |
平成25年 2013年 |
764 |
平成26年 2014年 |
780 |
グラフで見てみると以下のとおり。
地域別の最低賃金は、年々上昇しているのが良く分かります。
こうしてみると、この先も上がり続けそうですね。
加重平均とは
上で見た最低賃金の平均は、単なる平均ではなく「加重平均」となっています。加重平均とは個数も加味して計算した平均のこと。
例えば、100円と200円の単純な平均は150円。
でも100円が8個、200円が2個の場合には、その個数を考慮して以下のように平均します。
(100円×8+200円×2)/(8+2) = 1200/10 = 120円。
数を考慮する(多い少ないを考慮する)と平均は120円となるんですね。
これが加重平均と呼ばれます。
最低賃金の場合は、働く人の数を考慮した平均、ということになります。
2014年度の各地域の最低賃金
2014年度では、各地の最低賃金(地域別最低賃金)は以下のようになっています。(ちょっと長いですが)
都道府県名 | 最低賃金時間額【円】 |
北海道 | 748 |
青森 | 679 |
岩手 | 678 |
宮城 | 710 |
秋田 | 679 |
山形 | 680 |
福島 | 689 |
茨城 | 729 |
栃木 | 733 |
群馬 | 721 |
埼玉 | 802 |
千葉 | 798 |
東京 | 888 |
神奈川 | 887 |
新潟 | 715 |
富山 | 728 |
石川 | 718 |
福井 | 716 |
山梨 | 721 |
長野 | 728 |
岐阜 | 738 |
静岡 | 765 |
愛知 | 800 |
三重 | 753 |
滋賀 | 746 |
京都 | 789 |
大阪 | 838 |
兵庫 | 776 |
奈良 | 724 |
和歌山 | 715 |
鳥取 | 677 |
島根 | 679 |
岡山 | 719 |
広島 | 750 |
山口 | 715 |
徳島 | 679 |
香川 | 702 |
愛媛 | 680 |
高知 | 677 |
福岡 | 727 |
佐賀 | 678 |
長崎 | 677 |
熊本 | 677 |
大分 | 677 |
宮崎 | 677 |
鹿児島 | 678 |
沖縄 | 677 |
全国加重平均額 | 780 |
全国平均は780円(時間給)。
この表をグラフで見ると以下のとおりです。
こうして見ると、他と比較して赤枠で囲ってあることころが地域別最低賃金が高いですね。東京とその近郊の県である、埼玉県、千葉県、神奈川県、そして愛知県に大阪府といった地域の中心です。
最低賃金の対象と比較
最低賃金の対象
最低賃金の対象となるものは、実際に支払われる賃金から以下を除外したものです。
- (1)結婚手当等の臨時に支払われる賃金
- (2)賞与
- (3)時間外割増賃金
- (4)所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金
(休日割増賃金等) - (5)各種手当(精皆勤手当、通勤手当および家族手当)
よく間違えそうになるのが、交通費や各種手当。
最低賃金との比較を行う場合には、これらを実際の給料から引いたものでしなければなりません。
最低賃金との比較
厚生労働省発行の資料から抜粋すると、最低賃金の計算方法は以下のようになっています。気になる方は是非この機会に一度計算してみてください。
基本はもらっている賃金から時間給を計算して、各都道府県で設定している最低賃金と比較をします。
- 時給の場合
時給≧最低賃金 - 日給の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金
ただし、日額が定められている特定最低賃金が適用される場合では
日給≧最低賃金(日額) - 月給の場合
月給÷1ヶ月の所定労働時間≧最低賃金
上で見てきたように、交通費や各種手当て等は含みませんのでそのあたりお間違えなく。
まとめ
- 最低賃金とは「最低賃金法」によって決められている賃金の最低限度。
- 地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類がある。
- 地域別最低賃金の全国平均の推移を見れば、上昇傾向にあるのが分かる。
- 2014年度の各地域の最低賃金を見れば、
- 平均は780円(時間給)
- 高い地域は東京とその近郊の県、そして愛知県に大阪府といった地域。
- 最低賃金の対象は、交通費や各種手当を引いたもの
以前は生活保護水準よりも下回る、いわゆる逆転現象が起きている地域もありましたが(北海道、宮城、東京、兵庫、広島の5都道県)、2014年度の改定でそれも解消されました。
さぁ、あなたの給料、もしかして最低賃金より低い、...なんてこと、ないですよね?
今後を考える
最低賃金と比較して、というのもそうですが、そもそも最低賃金以上もらっていても、今の生活、今後の生活は果たしてどうでしょうか?
最低賃金自体は年々上昇してますが、その上がり幅は正に少しづつ。勿論経済状況と合わせてのことですが、あなたの給料は1年前、2年前などと比べてどれほど上昇しているでしょうか?
最近のニュースを見てみれば、給料のベースアップがあるとか、公務員の給料が2年連続でアップしたとか、少し以前には2014年の冬のボーナスでは久しぶりのアップが大きな話題となったり、と少しでも上向いた場合は大フィーバーです。
それだけそれ以前が悪かったことを物語っていますが、今後は上昇傾向が続くのかどうかはやはり不透明。先行き不安は相変わらずで、大手の企業では今でも大規模なリストラが発表されていたりしています。
明るいニュースがある一方、それでも先々を考えれば、会社に依存し続ける、現状維持だけを考えていく、というだけでは、後々つらい状況になるのであろうことは誰もが感じているところ。
それでも経済的に少しでも安定する方向にもっていくために、今まで以上に新たな収入源を考える必要性が高まって来ていると思います。
現在私は自分の体験を通し、そうした先を見越して何かしなければ、と考えている人向けに無料のメールマガジンを配信しています。
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