不況、不況と叫ばれて久しい日本。景気回復もささやかれてますが、まだまだ実感はわきません。
何時の時代でも会社勤めの人達にとって大きな話題の1つが「いつ辞めるのか」や「早期退職」。私の場合も結果的に「早期退職」を選択した一人ですが、行く先は希望に満ちた天国か、はたまた単なる夢の砂上の楼閣なのか。勿論これはその人次第。
公務員でも国家公務員退職手当法施行令と呼ばれるものが定められましたが、果たしてどれだけ実績をあげているのでしょう?
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早期退職とは
早期退職とは、定年とされる年より前に退職すること。
通常では定年間近、というより、もっと早い段階、例えば60歳定年では、それ以前の40歳とか50歳で退職することを指します。
最近こそ景気は上向きとも言われてますが、それでもなお厳しい状況におかれている会社は非常に多く、利益が増えない代わりに、出て行くお金を抑える工夫がなんとか迫られます。
その1つが社員の解雇。
よく言われる「リストラ」となりますが、社員が多いとその分色々と経費がかかるのは勿論、労働に見合って給料を支払う必要があります。(残業があれば残業手当も支払う必要がありますし)
これらはいわゆる人件費と呼ばれるものですが、これを削ることで支出を抑え、経営状況の悪化を防ぐ、ということをするんですね。
この早期退職、昔から内部の活性化を図るために定期的に行っている会社や組織もありますが、ここ最近では経営悪化のための対応策(企業存続のために社員を縮小する)として行われることも多くなりました。
早期退職優遇とは
勿論、会社から一方的な解雇をするのではなく、希望退職者を募って人員削減を図るわけですが、単に「退職する人を募集します!」では、単純に職を失うことになるため希望する人はいるはずもなく、そこで出てくるのが「優遇制度」。
早期退職を希望する人は何々を優遇しますよ、ということで、
- 働き続けるのを良しとするか、
- その優遇条件を考えて、会社をやめて他に道を探すのを良しとするか、
の選択を社員にしてもらうわけです。
あくまで会社から社員に対するオファーであり、選択するのは社員自信。何年か前にニュースでも流れた一部外資系企業のような怖い怖い「ロックアウト解雇」(突然解雇を通知して職場から社員を即座に追い出す)のような強制するようなものではありません。
早期退職優遇として主なものは以下2つ。
- 1)退職金の割増し
- 2)就職先の斡旋
ここで各々詳しく見てみてみましょう。
1)退職金の割増し
最初に最も興味が行くところが勿論お金です。
今後の生活に欠かせないものであり、この退職金がどうなるかが希望退職者にとってまずは一番大きな判断基準。私の場合も色々考える中で最終的な判断の決め手はこの「退職金がどうなるか」でした。
通常単なる退職では、その時までの会社在籍期間分の退職金しかでないところ、この優遇制度ではそれに加えて1年分とか2年分の給料が加算されて退職金として支給されます。
さて、あなたの在籍年数はどれほで退職金を試算するとどうなるでしょう?現在の年収はどれほどですか?
その額が退職金に加えて一度に支給されるのです。
中にはその額を聞いただけで退職することを決めてしまう人もいますが、一時の金額で決めてしまうのは物凄く危険。ここは少し頭を冷やして考えないと道を誤ることにつながります。
普段はとても手に入らない、例えば2千万というお金が退職金として一気に入ってくるにしても、よく考えれば、1年に300万使うとして、もって6年ぐらい。ではその後はどうするの?それはでは良いとしてもその後はお先真っ暗になる?というところです。将来を見据えた判断が必要になりますね。
2)再就職の支援
会社により異なると思いますが、希望退職者に対しては無料で再就職のためのサポートが行われます。私も利用しましたが、勤務先で提携している就職支援会社があればそこを利用できたりします。
希望退職者はこの就職支援会社、そしてハローワーク(職業安定所)といった公共のサービスなどを利用しながら再就職先を探す、または独立する道を探す、ということになります。
勿論待ってれば再就職先が自動的に決まる、などという話があるはずもなく、自ら探し相談する、といった「自ら行動する」必要がありますね。
就職希望の方向けにセミナーなどもありますが、実際参加してみると、いろいろな年代の方がいるのが分かります。中でも40代、50代、といった感じの方が多く「これは相当厳しそうな状況だな」という雰囲気を醸し出してます。
早期退職のメリット
早期退職のメリットは、勿論、それまでとは違った別の道を探せること。
会社が募集する早期退職制度を利用すると、自己都合や解雇という扱いではなく「会社都合の退職」となります。そのため退職後の雇用保険も受給期間が長くなるなどのメリットがありますね。(これが非常に大きい)
早期退職のデメリット
早期退職のデメリットは「勤めていた会社の後ろ盾」がなくなること。
勤めていた会社が知らない間に自分のアイデンティティーの一部となっていれば、自己喪失にもつながります。(大げさな話ではないですよ)これ、私の場合も実際にはそう感じた部分がありました。
(会社を辞めてしばらくは、体全体が自由な感じに包まれてましたが、その後、なにか地に足がついてない感覚に襲われて、ある種の孤独感に包まれることに)
会社にいる間は、経営者や上司の愚痴を言っていれば気も晴れたかもしれませんが、会社から完全に切り離されると、もう愚痴を言う対象も愚痴を聞いてくれる人も誰もいません。今後は全ては自らが行動し自らの行動から結果を手にしなくてはならないのです。
通常より多い退職金は受給されたものの、想定期間内に再就職先が決まらない場合が一番悲惨です。
最初こそ、これまで見たことのない大金を手にするかもしれませんが(退職金が振り込まれた通帳を見るとびっくりする)、でもやがてお金は底をつくもので、それまで何もしてなければ仕事は勿論ありません。希望する条件を下げれば仕事はあるにしても今まで以上に苦しくなる、みたいな状況となっては、いったい何のために早期退職したかわからなくなります。
(単に目の前のお金に釣られて辞めただけで、未来の事を何も考えてなかった、ということにもなりますね)
色々と調べてみれば、実は退職した会社への復職を希望する人も多いとか。実際に復職を願い出るというよりは願望なんですが(それはそうでしょう。そんなの認められるとは普通は考えにくいし、単なるわがままにしか見えない)、それだけ後悔する人も多いということです。
早期退職にはその優遇条件、そして退職した後の想定(これが最も重要!)をしっかり確認し、
- 全体としてプラスであれば、希望通り早期退職へ、
- マイナスであれば、現状にいくら不満があるにしても、思いとどまる、
といった冷静な判断が必要です。
会社に在籍中、
- やめると思った瞬間から就職活動、
- そして実際早期退職の希望を出すときには次の就職先が決まっている、または目安がついている、
というぐらいの周到さがなければ、早期退職は思いとどまったほうが無難です。
公務員でも早期退職優遇
国家公務員の早期退職募集制度
早期退職募集制度は、公務員でも勿論あるんですね。
2013年(平成25年)11月1日に国家公務員退職手当法施行令と呼ばれるもので「国家公務員の早期退職募集制度」が定められましたが、それ以前はよく「勇退」とか俗に「肩たたき」(ある日肩を叩かれると退職の合図、みたいな感じ)などと言われていたもの。
- 【内閣官房】内閣人事局の早期退職募集制度について
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/jinji_c3-1.html
これにより、国家公務員でも早期退職募集が正式に出来るようになりました。
それなりに昔になりますが2012年の3月に「政府、希望退職制を本格検討」というニュースが流れ、その1年半後のお話し。意外にスピード感を持って実行に移された感がありましたが、具体的内容などを見てみると...
- 45歳以上の職員が対象(定年が60歳の場合)
- 早期退職者の募集⇒応募⇒認定⇒通知⇒希望者の退職 というプロセスを経る
- 退職手当の額=退職時の俸給月額×支給率×調整率+調整額(職責に応じて加算)
などが決められています。
あせる早期退職
このころの2013年1月の朝日新聞では、教職員の早期退職問題が取り上げられてます。
2012年の8月には公務員の退職手当が15%減額((具体的には約400万)が決定されており、2013年1月から2014年7月にかけて3段階で引き下げるというもの。減額される以前に退職したほうが退職金が多くなる「逆転現象」が起こり、早期退職する教員が相次いだ、というお話し。
相次いだとはどれほどの数かといえば、ある時点では10都県で予定者含めて埼玉123人、佐賀36人、徳島12人、熊本1人。何があったのか埼玉県が飛び抜けて多かったんですね。
少し驚いたのが、失礼ながら公務員でも早期退職を決断する人が結構いるという事実。
確かに退職金は下がるのかもしれませんが、公務員こそは淡々と仕事を行い定年最後まで勤めあげる、攻めるというよりは守る保守的な人達、と勝手な想像をしてました。どうやら、そういった考え方も、教員の置かれる現場の変化や経済状況によって変わってきているかも知れません。
何かと注目される公務員。その後は落ち着いたのか公務員の早期退職系の話題はあまり聞かない気がしますが、先ほど出た「内閣人事局の早期退職募集制度について」のページでは、毎年早期退職募集の実施が行われていることが分かります。
ちなみにこちらによれば、平成29年度では1,472人、平成28年度では1,455人、平成27年度では1,528人と、毎年1500人ぐらいの国家公務員の方が早期退職制度を活用して退職しているようですね。
まとめ
- 早期退職とは、定年前に退職すること
- 早期退職優遇とは、早期退職希望者に対する優遇制度。
退職金の割増しや再就職支援がある。 - 公務員でも早期退職優遇制度は勿論ある
- 公務員の退職手当減額が決定され、地方公務員の退職増加が話題に。
- 堅実と思われた公務員も、今後の働き方が大きく問われているようだ
今後を考えれば
一般の企業も公務員も皆同じ。
見通しが悪い将来に対してどう舵を切っていくかは人それぞれですが、年を追うごとに判断が難しくなってきていると思います。
今はまだしのげている、日々の生活なんとかなっている、としても、1年後は本当にどうなっているか分かりません。これは自分だけでどうこうできる話でもなく、自分の力の及ばない中で勤めている会社自体の経営悪化といった要因でリストラとなる、といったこともまだまだでてくるでしょう。
こうした状況の中、いやいや自分には関係ないと思ったり、他に目を向けることなく現状維持だけを考える、ともなれば、後々つらい状況になるの明らかです。少しでも安定する方向にもっていくには、新たな収入源を今から作っていく、こちらがだめでもこちらがあるよ、といったことをして行く必要性も今まで以上に高まって来ていそうです。
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